お子さんの肌が何となくカサカサしてる。いつも痒がっている。

そんな症状を見たあなたは、「これって乾燥肌?それともアトピー性皮膚炎?」と心配になるのではないでしょうか?

今回は、乾燥肌とアトピーの違いをご紹介します。

決定的に違うところは何か?似ている症状は何か?など、肌に関する素朴な疑問から深刻な疑問までを私の知る限りにはなりますが、ご紹介したいと思います。

乾燥肌とアトピーの特徴って?

まず、乾燥肌の大きな特徴は、〈アレルギー要因を持っていないこと〉、〈特定の部位に乾燥が見られ、全身に広がりにくいこと〉なのです。

そして成長とともに乾燥している部位の症状が緩和されるケースが多いのも乾燥肌の特徴とされています。子供の皮膚は大人に比べて皮脂が少ないため、乾燥肌になりやすいのですが、成長とともに皮脂の量も増え、それが肌の乾燥を緩和してくれるのです。

ただし、大人になっても乾燥肌が続くこともありますので、一概に「乾燥肌は大人になったら完治する」とは言いきれないのです。

大切なことは、幼少期の乾燥肌だと気付いた時からケアし続けることなのです。

子供の頃から、足りない皮脂を補う乾燥肌ケアを続けているだけで肌や角質層の乾燥による負担を軽減させ、正常な角質層を作れる状態にしておくのが乾燥肌を緩和させるための肌ケアとなるのです。

次に、アトピー性皮膚炎の大きな特徴は、〈アレルギー性の皮膚炎であること〉、〈慢性化すること〉、〈全身に症状が現れること〉です。アトピー性皮膚炎は、何らかのアレルゲンに肌が過敏に反応して湿疹性の炎症を繰り返すものです。

アトピー性皮膚炎の特徴
  • アレルギー性の皮膚炎であること
  • 慢性化すること
  • 全身に症状が現れること

家族にアトピーの人がいたり、アレルギーがある人がいると、アレルギーを起こしやすい体質になる可能性は高いようです。

アトピー要因は遺伝性要因で発症することもあると言われています。もちろん、すべてが遺伝性ではありませんよ。他のアレルギーと同じように、家族にアレルギーがなくても起きる可能性は十分に考えられます。

乾燥肌とアトピーの症状の違いはあるの?

では次に、症状について比較してみたいと思います。

乾燥肌の症状

肌の水分保持力が低下した状態

健康な人の皮膚は潤いを保ち、アレルゲンなどのような外からの刺激から肌を守るバリア機能の働きをします。乾燥肌のお子さんは、皮脂量が少ないのでこのバリア機能が正常に働かなくなってしまいます。

そのため、本来ならば保持しなくてはいけない水分や油分を保持できなくなり、カサカサな肌になってしまうのです。

イメージとしては、何日も雨が降らなかった時の庭の土を思い浮かべてみてください(プランターの土でもOKです)。

あなたが毎日水やりをしていれば、もちろん土はゴワゴワになったり、ひび割れを起こしたりすることはないでしょう。

しかし、それをし忘れた時の土は、水分が完全に抜け、カチカチになってひび割れを起こしている状態を見たことはありませんか?

乾燥肌の状態は、まさにこの水を与えなかった土の状態なのです。

しかし、ひとたび水を与えると土はみるみる柔らかくなり、しっとりするはずです。お子さんの乾燥肌ケアも同じことで保湿し続けることが症状緩和につながるのです。

アレルギー要因を持っていない

先ほども書きましたが、乾燥肌の場合はアレルギー要因を持っていません。なので、何かのアレルギーに対して症状が悪化することはないのです。逆に言えば、常に乾燥と闘っている状態なのです。

よく勘違いされている方がいらっしゃいますが、「乾燥肌が重症化するとアトピーになる」と言われる方がたまにいらっしゃいます。

特徴が違うものですので、乾燥肌が重症化してもアトピーにはなりません(もちろん、乾燥肌だと思っていたのに調べたらアトピーだったという例はありますがこれは重症化によるアトピーではなく、もともとアトピーだったということになります)。

ちなみに乾燥肌が悪化すると、〈皮脂欠乏性湿疹〉という乾燥性皮膚炎になることはあります。

全身に広がりにくい

乾燥肌の特徴は、特定の部位が乾燥する症状であることが多いと言われています。

汗をよく掻く部位であったり、関節部位である場合が多いのですが、そこに出ていた湿疹等が全身にとびひのように広がっていくことは考えにくいのです。

もし全身が乾燥肌だという場合には、アトピー性皮膚炎の可能性もありますので、一度皮膚科を受診してみてくださいね。

アトピーの症状

敏感肌

湿疹やかゆみを伴い、乾燥肌と症状が似ていますが、乾燥肌という分類ではなく、敏感肌という分類になります。

アレルギー性皮膚炎の一種で慢性化しやすい

前項でも書きましたが、何らかのアレルゲンに肌が過敏に反応して湿疹や炎症などを起こし、その湿疹や炎症は慢性化してしまうので保湿剤だけではケアしきれない症状になります。

世界アレルギー機構(WAO)の定義ではアトピーとはタンパク質のアレルゲンに反応し、IgE(免疫グロブリンE)の数値が高くなると発症する病気の一種とされています。

IgEについて詳しく書くと、とても長くなってしまうので、血液検査などをした際、この数値を測定していたらちょっと数値を見ていただくくらいの理解で十分だと思います。

乾燥肌?アトピー?違いはあるが症状を見ただけでは判断ができない

皮膚に関するトラブルは、とても深刻ですし治療やケアも長期にわたります。

その間、あなたは「うちの子って本当はどっちなんだろう?」と判断に困るかもしれません。

乾燥肌なら、十分な保湿ケアを続けることで症状は少しずつ緩和していく可能性があります。しかし、アトピーはそれだけでは症状の緩和は望めないのです。

目安としては、乾燥肌ケアを半年続けていてもまったく症状が緩和しない場合、一度 皮膚科を受診 することをオススメします。見た目だけでは、どちらも同じように見えてしまうことが多いので正確な判断はとても難しいのです。

乾燥肌もアトピーも、皮膚のバリア機能の低下という状態は共通しているため、症状の違いを見抜くことは私たち素人には難しいでしょう。

大きな特徴の違いもあれば、症状など似ている部分もある乾燥肌とアトピー。

受診判断は、ケアを初めて半年後のお子さんの状態を見て判断材料にすることを覚えておいていただければ幸いです。