季節の変わり目に「なんだか疲れやすい」「朝から体が重い」「眠りが浅い」――
40代になると、更年期のホルモン変化に寒暖差や日照時間の減少が重なり、自律神経が乱れやすい時期が続きます。放っておくと、肩こり・頭痛・手足の冷え、気分の落ち込みまで連鎖しやすいのが特徴です。
本記事では、季節の変わり目の自律神経ケアを、鍼灸師の視点でやさしく解説します。最初に今日からできる即効ケア3つ(ぬるめ入浴/4–6呼吸/就寝前30分のリセット)を提示し、続いて「乱れる理由」「セルフチェック」「入浴・睡眠・呼吸法」「ストレッチ」「ツボ」「心のケア」を、1見出し=1テーマで読みやすくご案内します。
- すぐ整える:37〜40℃の入浴・呼吸のカウント・就寝前の光コントロール
- 習慣にする:首・肩・背中の3分ストレッチ/合谷・内関・足三里のやさしいツボ押し
- 冬への備え:今から整えるほど、冷え・落ち込み・不眠の予防に役立ちます
全部を完璧にする必要はありません。「できることを1つ」からで大丈夫。
この後のセルフチェックで、今の状態を一緒に確認していきましょう。
季節の変わり目に自律神経が乱れる理由は「寒暖差+日照減少」
40代になると、季節の移り変わりをきっかけに体も心も不安定になりやすいと感じる方が多いです。その背景には、私たちの体を自動的に調整している自律神経の働きがあります。
寒暖差が大きいと、体温を一定に保とうとする自律神経がフル稼働し、余分なエネルギーを消耗します。さらに秋から冬にかけては日照時間が短くなり、睡眠や気分を安定させるホルモンの分泌リズムが乱れやすくなります。
特に40代女性は、更年期のホルモン変化が重なるため、同じ寒暖差でも若い頃より不調を感じやすいのです。
「昔は平気だったのに、この頃はすぐ疲れる」「気分が落ち込みやすい」――そんな変化は珍しくありません。
つまり、寒暖差+日照減少+ホルモン変化のトリプル要因が、自律神経を乱れやすくしているのです。
次のセクションでは、あなたの体がどのくらい影響を受けているかをセルフチェックしてみましょう。
あなたも当てはまる?自律神経の乱れセルフチェック

「なんとなく不調だけど、原因がよくわからない…」
そんな時は、自律神経のサインを見逃しているのかもしれません。
以下のチェックリストに3つ以上当てはまる場合、寒暖差などによって自律神経が乱れている可能性があります。
- 朝起きても疲れが残っている
- 眠りが浅く、夜中に目が覚める
- 肩こり・頭痛が増えた
- 手足が冷えやすくなった
- 気分が落ち込みやすい、イライラしやすい
- 胃腸の調子が不安定(便秘・下痢を繰り返すなど)
- めまいや耳鳴りを感じることがある
いかがでしたか?
当てはまる項目が多かった方は、今のうちに自律神経を整えるセルフケアを意識的に取り入れることが大切です。
このあとは、日常生活で取り入れやすいケア方法をひとつずつ紹介していきます。
まずはこれだけ:自律神経を整える即効ケア3つ

「いろいろ試すのは大変そう…」と感じる方もいるかもしれません。
そんな時は、まず3つの即効ケアから始めてみましょう。どれも簡単で、今日から取り入れられます。
1. ぬるめのお風呂で副交感神経を高める
37〜40℃のぬるめのお湯に10〜15分ゆったり浸かるだけで、体の緊張がほどけ、自律神経のバランスが整いやすくなります。
照明を少し暗くし、お気に入りのアロマをプラスするとさらにリラックス効果が高まります。
2. 「4-6呼吸」で気分をリセット
鼻から4秒かけて息を吸い、口から6秒かけて吐き出す「4-6呼吸」は、交感神経の高ぶりを抑え、副交感神経を優位にしてくれます。
不安や緊張を感じたときに、数回行うだけで気持ちが落ち着きやすくなります。
3. 就寝前30分の“光オフ”習慣
眠りの質を上げるには、就寝30分前からスマホやパソコンの光をオフするのがおすすめです。
その代わりに、温かいハーブティーや白湯を飲みながら心をゆるめると、スムーズに眠りに入れます。
これらの3つを習慣化するだけでも、自律神経は少しずつ安定していきます。
次のセクションでは、なぜこれらのケアが必要なのかを、もう少し詳しく解説していきます。
入浴で整える方法:ぬるめ+時間+環境で“副交感”に切り替える
忙しい毎日でも取り入れやすいのが入浴習慣です。特に季節の変わり目は、寒暖差によって交感神経が優位になりやすいため、意識的に副交感神経へ切り替えることが大切です。
ぬるめのお湯で10〜15分
おすすめは37〜40℃のぬるめのお湯。熱いお湯は交感神経を刺激してしまうので、少しぬるいと感じる温度でじっくり浸かりましょう。
目安は10〜15分。肩まで浸かる全身浴が理想ですが、時間がないときは足湯でもOKです。
環境を整えてリラックス
バスルームの照明を落としたり、キャンドルを灯したりするだけで、心が落ち着きやすくなります。
また、ラベンダーやゆずなどのリラックス系アロマを取り入れるのもおすすめです。
入浴後のポイント
湯上がりはすぐに体を冷やさないことが大切です。
軽くストレッチをして血流を促したり、温かい飲み物をとって体を内側から温めたりすると、自律神経の安定が長続きします。
入浴は「毎日のリセットスイッチ」。
続いて、睡眠の質を高める工夫を紹介します。
睡眠を整える方法:就寝前30分の“情報遮断”が効く
自律神経を安定させるために欠かせないのが質のよい睡眠です。40代になるとホルモンバランスの影響もあり、眠りが浅くなったり途中で目が覚めやすくなります。だからこそ、眠る前の過ごし方を工夫することが大切です。
就寝30分前は“光オフ”で脳を休ませる
スマホやパソコンのブルーライトは、脳を刺激し交感神経を優位にしてしまいます。
眠りにつく30分前には画面の光をオフして、部屋の照明も少し落としてみましょう。これだけで眠気を感じやすくなります。
寝室環境を整える
快適な睡眠には室温18〜22℃・湿度50〜60%が理想とされています。加湿器や除湿器をうまく使って環境を整えましょう。
また、寝具は季節に合ったものを選び、汗や冷えを防ぐことも大切です。
心をゆるめる習慣を取り入れる
就寝前にハーブティーや白湯を飲むと、体の内側から温まりリラックス効果が高まります。
好きな香りを焚いたり、軽くストレッチをしたりするのもおすすめです。
眠りの質が上がると、翌朝のだるさが減り、自律神経のリズムも整いやすくなります。
次のセクションでは、手軽にできる呼吸法をご紹介します。
呼吸法で整える方法:4-6呼吸で心拍と気分をスローダウン
呼吸は、自律神経を自分でコントロールできる数少ない方法のひとつです。特に40代はストレスやホルモン変化の影響で呼吸が浅くなりがち。意識して呼吸を整えることで、気持ちの揺らぎや体の緊張をやわらげることができます。
基本の「4-6呼吸」
鼻から4秒かけて息を吸い、口から6秒かけてゆっくり吐く。このサイクルを数回繰り返すだけで、心拍が落ち着き、副交感神経が優位になります。
「吐く息を長くする」ことがポイントです。
姿勢とタイミング
背筋を伸ばして、肩の力を抜きましょう。座っても、横になってもOKです。
・朝起きた時
・寝る前
・イライラや不安を感じた時
など、日常の中で取り入れると効果的です。
+αで深まるリラックス
お腹に手をあてて、膨らむのを感じながら呼吸する腹式呼吸を意識すると、リラックス効果がさらに高まります。
好きな香りを使うと「気持ちを切り替えるスイッチ」にもなります。
深い呼吸は、体と心を同時にゆるめてくれるシンプルな方法です。
次は、体を動かして整えるストレッチ習慣をご紹介します。
ストレッチで整える方法:首・肩・背中の3分ルーティン

寒暖差やストレスで自律神経が乱れると、首や肩、背中の筋肉が硬くなりやすくなります。
筋肉の緊張をほぐすことで血流が改善し、リラックスしやすい状態に整えられます。ここでは、忙しい方でも続けやすい3分ストレッチを紹介します。
首をゆっくり回す
肩の力を抜いて、首を前→横→後ろへと大きな円を描くように回す。左右それぞれ3回ずつ。
ゆっくり呼吸を合わせながら行うと、緊張が和らぎます。
肩甲骨まわりを動かす
両腕を肩の高さに上げ、肘を曲げて大きく胸を開く動きをします。肩甲骨を寄せるイメージで5回ほど。
デスクワークで固まりやすい背中をリセットできます。
背中の前屈ストレッチ
立ったまま、両手を太ももに添えて、ゆっくり前に倒します。背中を丸めて3回深呼吸。
背中全体が伸びて、血流が促されます。
これらを朝起きてすぐ・就寝前に取り入れると、自律神経が安定しやすくなります。
次は、体の内側から整えるツボ押しを見ていきましょう。
ツボで整える方法:合谷・内関・足三里でだるさと冷えに対応

東洋医学では、ツボを刺激することで気血の流れを整え、自律神経や内臓の働きをサポートできると考えられています。
ここでは、季節の変わり目に特におすすめの3つのツボをご紹介します。
合谷(ごうこく)
手の甲側、親指と人差し指の骨が交わる部分にあるツボです。
ストレスやイライラを和らげる働きがあるとされ、頭痛や肩こりにも効果的といわれています。
反対の親指で気持ちよい強さで30秒ほど押してみましょう。
内関(ないかん)
手首のしわから指3本分下の内側、2本の腱の間にあるツボです。
不安感や気分の落ち込みをやわらげ、胸のつかえや動悸にもよいとされています。
ゆっくり深呼吸しながら、左右交互に押してみてください。
足三里(あしさんり)
ひざのお皿の外側から指4本分下、すねの骨の外側にあるツボです。
全身のだるさや冷えにおすすめで、胃腸の働きを整えるサポートも期待できます。
両手の親指でじんわり押してみましょう。
ツボ押しは「痛気持ちいい」と感じる程度の刺激で十分です。
1日1〜2回、リラックスタイムに取り入れてみましょう。
次のセクションでは、心を整えるための工夫についてご紹介します。
心も整える:頑張りすぎをやめる“ゆるめスイッチ”の作り方
季節の変わり目は、体だけでなく心も疲れやすい時期です。40代女性は家事・仕事・家族のことと、日々やることが尽きません。知らず知らずのうちに「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込み、自律神経を乱してしまうこともあります。
「頑張らない時間」を意識してつくる
1日の中で5分だけでも“休む時間”を意識しましょう。何もしないでお茶を飲む、ぼんやり窓の外を眺める――それだけで心はリセットされます。
1分マインドフルネス
呼吸に意識を向けながら、今ここに集中する「1分マインドフルネス」もおすすめです。
「息を吸っている」「吐いている」と心の中で唱えるだけで、思考が整理されて気持ちが落ち着いていきます。
香りや音楽を“スイッチ”にする
ラベンダーなどのアロマオイルや、好きな音楽をかけると「ここからは休む時間」と切り替えやすくなります。
香りや音は脳に直接働きかけるため、リラックスのスイッチとして効果的です。
心がゆるむと、体のこわばりも自然に和らぎます。
次のセクションでは、冬に向けて今から整えておきたいケアについてお伝えします。
冬の冷えや落ち込みを防ぐために、今からできる自律神経ケア
秋から冬にかけては、気温差だけでなく乾燥・冷え・日照不足が重なり、自律神経の乱れが一層強まりやすくなります。
「冬になると気分が落ち込みやすい」「手足が冷えて眠れない」――そんな不調を軽くするためには、今のうちから準備をしておくことが大切です。
今日からできる予防アクション
- 毎日の入浴で体温調節の負担を軽減
- 就寝前30分の情報遮断で睡眠の質を高める
- ストレッチ・ツボ押しで血流を促し、冷えを予防
- 心をゆるめる時間をあえて確保してストレスを蓄積させない
関連記事でさらに深める
詳しいセルフケアや冬の過ごし方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
冬を健やかに過ごすためには、秋からの小さな積み重ねが何よりの備えになります。
次のまとめでは、今日からできる一歩を一緒に振り返ってみましょう。
まとめ
季節の変わり目は、寒暖差や日照時間の減少重なって自律神経が乱れやすい時期です。40代女性は更年期の影響も重なり、不調を感じやすくなります。
今回ご紹介したセルフケアは、どれも日常に取り入れやすいものばかりです。
- 37〜40℃のお風呂で10〜15分リラックス
- 4–6呼吸で心拍と気分を整える
- 就寝前30分は光オフで睡眠の質を高める
- 首・肩・背中をゆるめる3分ストレッチ
- 合谷・内関・足三里のツボ押しで冷えやだるさをケア
- 「頑張らない時間」をつくって心をゆるめる
大切なのは、完璧に全部やることではなく、できることをひとつ選んで続けることです。
小さな一歩が積み重なり、冬の冷えや気分の落ち込みを防ぐ力になります。
「最近ちょっと不調かも」と感じたら、まずは今日からできるケアを一つ試してみてください。
その行動が、明日のあなたをもっと軽やかにしてくれるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 更年期の症状と季節の変わり目の自律神経の乱れはどう違うの?
どちらも「疲れやすい」「眠れない」「気分が落ち込む」といった共通点があります。ただ、更年期は女性ホルモンの変化が主な原因で、季節の変わり目は寒暖差や日照時間の減少が大きく関わります。重なることで不調が強く出ることもあるため、セルフケアで整えることが役立ちます。
Q2. 運動はした方がいいの?
激しい運動よりも、ウォーキングや軽いストレッチがおすすめです。血流がよくなり、体温調節や睡眠リズムが整いやすくなります。毎日続ける必要はなく、できる範囲で週に数回から始めてみましょう。
Q3. 日中の強い眠気はどうすればいい?
昼食後などに眠気を感じるのは自然なことですが、強い眠気が続くと生活に支障が出ます。
15〜20分の短い昼寝を取り入れたり、昼間にしっかり日光を浴びたりすることで、自律神経が整い眠気が和らぎやすくなります。
小さな工夫で、自律神経は確実に整っていきます。ご自身の体調に合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてください。
